子供が発達障害かもしれない、と心配していませんか?
はじめまして。小4の娘と小2の息子の母、ゆなつと申します。子育てをしていると、子供って本当に一人ひとりいろんな点で違っていて、それぞれが個性豊かな存在なんだなと気づかされますね。それと同時に、「あれ?うちの子の個性ってこのままで大丈夫?」と心配になる方もおられるかと思います。
特に近年「発達障害」という言葉がメディア等でもよく聞かれるようになり、わが子も発達障害なのでは?と感じられることがあるかもしれません。そんな時はどうしたらいいでしょうか。私も現在10歳になる娘が2歳頃から、なんとなーくそんな心配を抱えたおかんだったのです。
娘を「おてんばな子」と捉えていていいのか、それとも専門の方に相談した方がいいのか、迷いながらどう対応してきたかをお伝えしたいと思います。
発達障害を疑う娘、幼児期の特徴とは
出生時1800gという未熟児だった娘でしたが、スタートの出遅れを取り戻すかのようにすくすく育ち、あちこち探索しては目を輝かせる姿は「ザ・好奇心」な女の子でした。
ただ、2歳頃からとにかく高い所に登りたがる、ジャンプやくるくる回る、興味をひかれると突進していくといった行動が多い娘。周りのお母さん方は「身体能力が高いねー」「元気だね、やってくれるねー」と笑って下さるのですが、私は一緒に笑いつつもケガをしないか、見失わないか、お友だちにぶつからないか…とヒヤヒヤの連続です。
私としては子供がのびのび遊べるように見守る子育てを心がけたいのですが、娘の動きはめまぐるしく、のびのびというレベルを超えています!実際高いところから落ちたり、テーブルにダイビングして頭にマンガのようなたんこぶを作ったりとケガが絶えません。
3歳前には調理台に置いてあったスープをひっくり返して顔にやけどをしたこともありました。同年代の子に関心を持って一緒に楽しく遊んだりもしますが、娘の動きが激しくて思わずぶつかって泣かしてしまうことも時々。
発達障害を疑う前の、幼児期の接し方
外遊びが大好きな娘とお出かけするのは、喜びや発見がいっぱいです。ただ、この時私はすでにアラフォー。2歳下の長男を連れながら娘の突発的で想定を超えてくる動きについていくには、体力気力が足りず毎日ヘロヘロでした。1歳半、3歳児検診では特に問題なしと言われたので、おてんばさんという認識でいいのかなと思っていたのです。
でも時には同年代の子のお母さんが「娘ちゃんの真似しちゃだめ!」と自分のお子さんに言っているのを目にして、軽くヘコんだりもしました。ま、"娘の遊び方がおもしろそう!"と思って一緒に高いところに登ったりすると危ないので、仕方ないですよね…。
それでも私と夫はできるかぎり彼女のやってみたいことを頭ごなしに止めないように、よほど危険な事や人に迷惑がかかる事以外は見守ろうと心がけていたんです。
娘のバイタリティーや好奇心は彼女が喜びを持って成長していく糧となっているので、そのまま認めたいと思っていたのです。もちろん、穏やかに見守れずキーッとなることも多々ありましたよ。
発達障害を疑い始めた5歳、理由は先生との会話
可愛くも破天荒に育った娘は、4歳9ヵ月で2年保育の幼稚園に入園しました。
幼稚園といえば、イスに座って先生の話を聞く、タイムスケジュールに沿った生活など、集団ならではの活動があります。それまでも幼児教室などに時々参加して慣れてきてはいましたが、自由を愛する娘だけに、毎日の集団生活は大丈夫なのか?とわたしは心配していたんです。
入園式の日にさっそく一番高い遊具を陣取った娘でしたが、意外にも順調に幼稚園生活になじみ、毎日お友だちと遊べることが楽しい様子でした。先生も「すごく元気ですね!自分の世界に入っていることもありますが、注意を向けると話も聞けるようになっていますよ」とおおらかに受け止めてくださいましたね。
年長さんになり2、3歳の頃ほどたえず動き回っていることはなくなったので、落ち着いてきたなあと思っていましたが、奇しくも年中の時の先生に言われた「自分の世界」がむくむくと大きくなって、わたしにとって小さな気がかりとなっていきました。
発達障害と個性の線引きとは?
実は私、大学で障害児教育を専攻していました。もう20年以上前ですが、「ADHD(注意欠陥多動性障害)」という概念が世の中で知られるようになってきた頃です。
ADHDとは、不注意(集中することが難しい、または興味のあることには集中しすぎる)、多動性(落ち着いて座っていることが難しい)、衝動性(突発的な言動)という特性を中心とした発達障害です。
その後保育士になり、クラスに1人くらいいるいわゆる「落ち着きのない子」がADHDと診断された、というケースも何人か見てきました。それらの経験から、娘を育てていく中で2、3歳の頃のとにかくよく動きケガが絶えない姿を見て、ADHDの特性っぽいなと感じることもあったのです。
でも幼稚園に入ってそのような姿は落ち着いてきたので、自分の専門分野なだけに考え過ぎたのかなと思っていました。
娘は発達障害!?幼児期の検査として発達支援専門の先生に相談
しかし、6歳になった娘の育ちにはやはりどこかデコボコした面があります。何かに興味を持つと突然動きだし、メルヘンの世界に入り込んでいるかのように集中し、そんな時には周りの音が聞こえないのかと思うほど呼びかけに反応なし。
何かを伝えて娘が返事をしたとしても実際は聞いていないことが多く、「おーい、戻ってこーい!」と言うこともしばしばでした。関心が向いている時はすごい理解力や想像力が発揮されるだけに、やるべきことがある時に話を聞いておらず、夢想している娘をマイペースと捉えたままでいいのか…。
就学前ということもあって迷ったあげく、幼稚園に月1回出向いてくださる発達支援専門の先生に相談することにしたのです。少し年配の女性の先生は、午前中2時間ほど園での娘の様子を見たりさりげなく話をしてくださりして、午後から私の相談を受けてくださいました。
そこで言われた言葉は、「うーん。…大丈夫じゃない?」でした。先生いわく、自分の世界に入り込んでいるようなことはあるが、特に集団から外れるというほどでもない。話しかければ目を見て返答できる。ADHDではないと言い切ることはできないが学校生活はそれなりに送れるのでは、とのことでした。
私自身にあるADHD傾向の特徴も相談
なんとなくほっとしながら、わたしの中でひとつ気になっていたことを先生にお話しました。それは、私自身にADHD傾向があるのでは?ということ。娘を育てながら苦戦していた多動、過集中と不注意、衝動性。これらは私自身が幼少期から学校で叱られたり、自分がなんだか人と違うと感じてきた特性だったのです。
学校での成績は良いのに、授業中じっと座っているのは大の苦手で忘れ物はチャンピオン。通知表にはよく「落ち着きがない」「整理整頓ができない」と書かれていました。それでも周りの友達に恵まれてフォローしてもらったり、苦手な状況では叱られながらもあまり気にせずエスケープしてきたんです。
大学で学んだことと、娘の育ちが気になって調べたことが、自分の経験とパズルのように重なって感じることを、先生にお話しました。先生は、子供の発達相談と関係ない私の話をふむふむと聞いてくださり、「それで、大人になってからどう対処してきたの?」と聞かれました。
私が「大学で授業ごとに教室を移動する時は、荷物をまとめられないので友達が手分けして持ってくれました。」「今、法事などで静かに座っているのがしんどい時は、子どもがぐずったふりをして立ち歩いたりします。」と答えるのを先生は楽しそうに聞いてくださり、最後に一言、「じゃあ、娘ちゃんもそうやって生きたらいいのよ」とおっしゃったのです。
娘は発達障害?小学生に上がる時、治療よりも大切なこととは?
そして、「娘ちゃんが小学校に上がって授業中座っているのが難しい時は、担任の先生が『このプリントを職員室まで持って行ってくれる?』などと少し体を動かす時間を与えてくれると、また注意力が戻ってくるから」と言われました。
私が「そんな理解のある先生いますかね…」と言うと、「そこはあなたが先生にお願いするのよ。元ADHDっ子として」とのお答え!
思わず笑ってしまいましたが、この相談で私が分かったことは、発達障害かどうかという診断よりも大切なことは「子どもがありのままを受け止めてもらいながら、生きやすく成長できるような環境を整えること」という事でした。
これは子育ての上でも、自分自身を見つめる上でも、また仕事や地域の子どもたちとの関わる上でも大きな学びとなりました。
発達障害の疑いを持ったらまず相談すること
子育てをする中で、「わが子が発達障害かもしれない」と感じるのは不安な事ですよね。私のように何か育てにくさを感じたところから「もしかして」と思う場合もあれば、幼稚園等で子供の様子を見ている先生から、発達障害の可能性を伝えられる場合もあります。そんな時、親としてどんなことができるでしょうか。
まず最初にお勧めしたいことは、私がお世話になったような発達相談をすることです。幼稚園等で受けられる場合もありますし、行政機関でも受けられます。そこで専門家の方に心配な点を聞いてもらったり、アドバイスを受けることができます。その上で、診断を受けるという選択肢が出てくる場合があります。
幼児期や学童期に特性が表れてくる発達障害としては、ADHDのほかにも自閉症スペクトラム・学習障害などがありますが、検査等で診断を受ける事にはメリットとデメリットがあります。
発達障害の診断メリットとデメリットを踏まえて子供と向き合う
メリットとしては、診断がついた場合に障害の程度にもよりますが、公的な支援やサービスを受けることができることです。また、親や保育者がその子に合った関わり方や支援をすることができるという点もあります。
例えば落ち着きがないと言われる子は、親の育て方やその子の人格の問題ではなく障害に原因があると分かれば、不必要に本人を頑張らせようとすることがなくなります。そして、どのような環境があればその子は落ち着くのか、落ち着かない時はどう関わればいいのか探っていくことができます。
デメリットとしては、障害と診断がつくことで本人が自信をなくしたり、親も落ち込んでしまうことがあることです。また、周りから偏見の目で見られる場合もあります。もし適切な支援を受けられないのであれば、診断は単に子供にラベルを貼るだけになってしまうのです。
診断を受けるかどうか迷う時は、メリットとデメリットを踏まえた上で子供自身の性格や親としての考えや周りの環境を考慮して、どちらがその子の生きやすさと成長につながるかを軸に、選択すると良いのではないかと思います。つまり、親も子供もよりハッピーになれる選択ができれば、それがその家庭にとっての正解だと思うのです。
ちなみに娘は現在小学4年生。心配していたほど学校生活に適応しづらいということはなく、学校や好きな習い事を楽しんでいます。
発達障害のグレーゾーン、小学校時期も関わり方次第で変わる!
しかし幼児期に感じたことが思い過ごしだったかというと、好きなことにはどこまででも集中するが興味がないことは聞いていない、気が向かないという度合いは増している感があります。もし今診断を受けたなら、不注意が優位のADHDもしくはグレーソーンと言われるかもと思っています。
でも、わが家としてはとりあえず診断は受けなくていいかなと判断しています。診断を受けることのメリットに、その子に合った関わり方ができると書きましたが、実はそれは診断を受けても受けなくても、発達障害があってもなくてもできることだな、と実感するようになったからです。
私は娘を育てていく中で、発達障害かもと思う育てにくさを感じたことにより、どうすると彼女がのびのび過ごせるか、自信を持てるか、私もイライラせずに一緒に過ごせるかを考えることができ、彼女との関わりの中でそれを探ってきました。その見方は長男を育てる上でも助けになったのです。
わが子が発達障害かも…という不安を一人で抱えていませんか?その気持ちはあなたを苦しめるものではなく、子供へのより良い関わりの発見、また子供自身の生きやすさへの第一歩かもしれません。周りの人たちにもサポートを受けながら、その一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか?