「魔の2歳児」「悪魔の3歳児」が過ぎて、そろそろ天使になると噂の4歳児。なのになんだか様子がおかしい。口ばかり達者になって、急に大人みたいな物言いをしてくる。前ほど素直じゃなくなったし、毎日同じ事で叱っている気がする。
世界で母の声だけ聞こえなくなったのかと思うくらい、言う事をまったく聞かない時期ってありますよね。そんな時期の子供のなかでは、一体どんな事が起きているのでしょうか。自立への第一歩と言われる4歳の反抗期とは、どのようなものなのでしょう。
4歳は言うこときかないのが普通?イライラしてしまう毎日
子供が4歳になってから、なんだか不機嫌が増えた気がする…。そんな風に感じた事、ありませんか?ちょっと思い通りにいかないとすぐに怒ったり、関係ないことで八つ当たりしてきたり。ただ今4歳真っ只中のわが家の次男も、とにかく理不尽な事で毎日怒っています。
「この前パン屋さんで2つしか買ってくれなかった」という1週間ほど前の事を引っ張り出し、鬼の形相でこちらを睨みつけるんです。しかも朝の6時に。本人も言ってますが2つも買ったというのに、一体なんなんでしょう。今までは素直にやっていた朝の登園準備や帰ってからの荷物の片付けも、前と同じようにはすんなりいかなくなってきました。
何かと理由をつけるか、こちらの話を完全に無視するか。もはや外からエンジンをかける事ができなくなってきているんです。かと言って自分でエンジンをかけるのを待っていたら明日になりそうだし、かかったらかかったで今度は暴走…。調子に乗り過ぎて、今度はまた別の事で叱るはめになります。
そもそも子供は言うことをきかないもの、と頭では分かっています。ちょうど4歳は、自立に向けて自己主張が激しくなる時期、という話も知っています。ですが、親の目にはとにかく自分勝手で自己中心的に映ってしまうのが4歳の子供なのです。
4歳児の発達が知りたい!実は思慮深さが出てくる時期
人間の脳は、4歳で大人の8割程度が完成すると言われています。こんな小さな頭から大人になるまでほとんど変わらないの?!と思ってしまいますが、ここからは回路が増えたり減ったりする事で大きさや重さが増えていくそうです。小さな体とまだ回路が十分ではない脳で、4歳児は今までにない考え方が出来るようになって来ます。
それを認知能力の発達と言います。今まで、世の中は自分中心、現在中心でした。日常において、「今」「自分が」全てだったんです。だからこそ体力の限界まで動きまわり電池が切れたかのように力尽きるし、さっき注意された事は忘れちゃうし、明日また来るからとか今度買おうという話が通用しませんでした。
認知能力が発達する事で、過去・現在・未来を想定できるようになります。そして他者への配慮ができるようになってくると言われています。明日また公園ですべり台で遊ぼう、昨日あんな事言ってお友達怒ってないかな?など、考える事ができる幅が急に広くなるんです。この事が、4歳児の頭を混乱させてしまいます。
さらに、単純に眠い、暑い、お腹空いたで泣いていた今までとは違い、自分の要求が実現しない理由に自分以外の誰かが関係している事に気付いています。でも自分以外の誰が思い通りにならないのかをまだ理解できないのが、泣いたり怒ったりするのが爆発的になってしまう原因です。
参考:東京すくすく 子どもの脳はどう育つ?(3)脳の重さ4歳で既に大人の8割程度に
4歳の言うこときかない時期、対処法は?
誰かのせいで思い通りにいかない!という感情をぶつけるとしたらどこでしょう?きっと一番近くにいる親ですよね。朝の準備や食事、トイレ、お風呂も何もかも、やらなきゃいけないと知っていても自分なりに理由があって嫌だ。そう思った時に、何かしら怒りたい事を思い出して不機嫌をぶつけてみる。
次男を見ているとそんな風に感じる事があります。でもだからって、こちらも毎日黙ってサンドバッグになる事はできません。今怒っている「本当の理由」を探ります。色々と八つ当たりをしてきますが、話は聞き流していいので、その前後の出来事や本人の様子をよーく観察してみてください。
すると、さてはあのお皿に残っているトマト食べたくないんだな、まだお風呂に入りたくないんだな、やろうと思ってたのに先に言われたのが嫌だったんだな、と本当の原因が見えてきます。原因が見えたら話をそれとなく持っていき、「じゃあトマトひとつだけ」「お風呂はあと10分たったら」というように一緒に解決していきます。
4歳のしつけ、厳しい必要性はない?
毎日言っているのにテーブルの端に置くからお茶がこぼれる!というのも頭ではきっと分かっているんです。これはこぼしてしまった時に自分で拭くようにしてもらいます。
「こぼしたら怒られる」より「こぼしたら拭かなきゃ」と思ってくれる方が、自分の意志で注意しなきゃ!と意識してくれるようになりやすいからです。そのためには先回りして、だからそんな所に置いたらこぼれるよ!と言いたいのを我慢して、こぼれるまで見守るのもひとつです。
わが家の次男は、こぼれたお茶を見て「あー…だからもっとこっちに置かなきゃダメなんだよなあ」とブツブツ言いながらタオルを取りに行くようになりました。たまに「お母さん先に危ないって言ってよ!」と流れ弾も飛んで来ますが。
思わず大きな声で制したくなるような危険な時も、怒るのではなく「なんでそうしたの?」と理由を聞いてあげる事で、子供にとってただ怒られた体験ではなく、してはいけない事の理由を知るきっかけになります。もう、自分で考えて行動を決める事ができるようになってきているんですよね。
4歳の生意気な時期の対応で知っておきたいこと
そもそも子供は自己中心的で言う事を聞かないもの、と思っておく事も大切なのではないでしょうか。そして4歳という時期は、脳が急成長するため、子供本人も混乱しているということも知っておいてあげましょう。
それでもまだまだ自分の判断だけに任せるわけにいかない時期。「言うことを聞かせようとする」のではなく「やらなきゃいけない事をやるためにエンジンをかけるサポートをする」くらいのスタンスの方が、こちらもストレスなくいられますよ。
生意気な口調はある程度受け流し、失敗も見守り、怒るより理由を聞く。実践するのは簡単ではないかもしれませんが、子供の成長にとって欠かせない大事な時期を、できるだけストレスなく乗り越えましょう。