お子さんが帰って来て、今日のレッスンの事を嬉しそうに話してくれる時、バレエ用語の理解に難しいと思うことはありませんか?
お子さんに クラシックバレエ を習わせていて、悩まれて居るお母さまは多くいらっしゃいます。
ここではクラシックバレエ歴20年の筆者が初心者の方にもわかりやすいように解説していきますね。
バレエ用語は、基本的にフランス語であり、『世界共通』の用語なのです。
用語の意味や動きを細かく理解することは難しく、国や流派によっても、少々呼び名や意味が違う場合もあります。
留学等で外国に行って、その国の言葉がわからなくても、レッスンの流れがわかって居ればついて行く事ができます。
用語を覚えると、動きがわかるのです。
知っておきたいバレエの基礎レッスン用語
バーレッスンで使う『バレエ用語』について
基礎レッスンは、バーにつかまる「バーレッスン」とホールのセンターで行う「センターレッスン」があり、それぞれ、右脚を振り上げる等をして動かし、左脚を軸とする右側と、反対の左脚を動かし右脚を軸とする左側の、左右ひとセットとして行います。
これは体の左右細部の関節・筋肉をほぐし、自由自在に体を動かせる様にすると共に、脚をくじく等の事故を少なくできます。
手と首、脚と肩、更に肩と頭、首の動き。
それぞれ関連しているので、連動して動かす事により、誰もがうらやむ様な美しい動作を行える様になるのです。
ですから、バレリーナは日々基礎レッスンを欠かす事はありません。
バレエの基礎的な手の動作
ポールドブラ 腕の運びのこと。バレエではとても重要な動きの一つで、しなやかに腕が動く事によって『白鳥の湖』の白鳥が羽ばたく様な、スワンのアームスが実現します。
プレパレーション 下から胸の前を通って横へ、動きに入る前の準備の手の動き。
バレエの基礎的な手の位置
アンバー 手のひらを内側に向け肘を張り手先はお腹の下
アンナバン 手のひらを内側に向け肘を張り手先は胸の前
アンオー 手のひらを内側に向け肘を張り手先は頭の上
アラセゴンド 肘を張り両手を左右に広げた状態(横の意味)
バレエの基礎的な脚のポジション
1番 つま先を出来る限り横に向け、両かかとをつける
2番 1番の状態で、かかとをこぶし2つ分位離す
4番 5番の形で右と左の間にこぶし1つ分位離す(右左あり)
5番 右のかかとと左のつま先を合わせる(右左あり)
6番 かかとをつけて逆のハの字につま先を開く
3番ポジションから何かを行う事はまず無く、3番ポジションのレッスンはありません。形としては、1番と5番の中間。かかとを反対側の脚の土踏まずの所で止め、つま先は両脚とも外側。(左右有り)
アティチュード 片方の脚の膝を軽く曲げて前・横・後ろのいずれかに上げて保つ形
アラベスク 片脚を軸に、もう片方の脚を後ろに上げて保つ形。
パッセ 膝を外側に向けつま先を軸脚の膝につける
バーレッスン
基礎レッスンのひとつ、バーにつかまって体を動かす「バーレッスン」です。
始まる前に各自で、ストレッチ(柔軟体操)を行ってウォーミングアップをしておきます。
レッスンは全て音楽にあわせて行います。
まず、レヴェランスと呼ばれるレッスンの最初と最後に行うバレエのお辞儀をします。
片手でバーに軽くつかまり、脚は1番から順番に5番までプリエ ドゥミプリエで関節を柔らかくしスムーズに動くようにします。
プリエは、両膝を外側に向け膝を曲げます。ドゥミは小さいという意味なので、小さなプリエ、ドゥミプリエはプリエよりも浅めに膝を曲げます。横の手は、肩が一番高く次にひじ、自然に伸ばした手先を一番低くなる様にして、親指は内側にします。
ルルベ かかとを上げ、背伸びをした状態です。足裏をしっかりストレッチしていきます。
次は、足首から下の、足の裏から指先までの動きに入ります。
基本的に、両膝は外側に向け、両かかとは内側に向けます。
ドゥバン 前
アラセゴンド 横
アリエール 後ろ
※バーレッスンは以下の順番で進んで行きます。
タンジュ 片方の足の裏を床に出来るだけつけたまま、前、横、後ろにすり出し、最後につま先は床から浮かさず伸ばします。
ジュテ (バットマン・タンジュ) タンジュの動きの延長線でつま先を少し床から離します。
ロン・ド・ジャンプ ロンが「丸い」、ジャンプは「脚」の意味で、つま先で前から後ろ、後ろから前に回し半円を描くように動かします。
アン・デオール 「外側に」という意味で、前、横、後ろの順につま先で半円を描く様に回します。
アン・デダン アンデ・オールと反対に、後ろ、横、前の順につま先で半円を描く様に回します。
フォンデュ 「溶ける」という意味で、軸脚がプリエをし、反対側の脚がクペから前・横・後ろに脚を伸ばすと同時に、軸脚も伸ばす動きです。
クペ つま先を伸ばした状態で、軸脚の首につけます。
フラッペ 「たたく」という意味で、足の裏で床を叩いてつま先を伸ばし、床から少し浮かします。
アダージョ ゆっくりとした音楽に合わせて行う振りで、パッセから前・横・後ろに脚を上げる等を行います。
グラン・バットマン グランが「大きい」バットマンが「打つこと」の意味で、脚を前、横、後ろに大きく蹴り上げます。
バレエ豆知識
バレエでは、足首から下の足の裏の動きはとても重要で、大げさな様ですが足の裏の力で全身を支えると言っても過言ではありません。
もちろん、腹筋や背筋の力も腰から上の状態を保つのにとても重要ですが、トウ・シューズは足の裏とつま先の力を使って靴の先端数センチで立ち、体中の筋肉と連携して支え、美しい形を維持できるのです。
それに加え、ネコ科やネズミが長い尻尾でバランスを取る様に、バレリーナは、上や前後左右に長く伸ばした手先と足先でバランスを取ります。
バーレッスンは、この後行うセンターレッスンのウォーミングアップとも言えます。
さあ次は、本領発揮のセンターレッスンです。
センターレッスン
体中の関節の柔軟性や、筋肉をほぐして動きがスムーズに行える様にするバーレッスンを一通り終わると、今度はスタジオのフロア(中央)に出て「センターレッスン」に入ります。
センターレッスンに入ると、脚の動きに合わせて首の位置、体の向き、腕の動きを同時に動かさなければなりません。
バレエの手の動作・位置、脚のポジションは「バーレッスン」と同じです。参照ください。
ここからは体の向き・動きに入っていきます。
バレエの基礎的な体の向き
ドゥバン 前
アラセゴンド 横
アリエール 後ろ
クロワゼ 右脚が前の場合、前に対して右肩を斜め45度の方向に向けて立つ、前を重視した位置の事。(左脚が前の場合は左肩が前45度)
エファッセ 右脚が前の場合、後ろに対して左肩を斜め45度の方向に向け、後ろを重視した位置の事。(左脚が前の場合は右肩が後ろ45度)
体の各部分は、それぞれ連動しているけれどバラバラに動かさなければならないので、手の動き(ポールドブラ)を重視すると足の動きがついて行かず、足の動きに気を取られて体の向きと手の動きがおろそかになってしまう事がよく有ります。
日常生活は、バレエの体の向きや首、手の動きは一切無いので取得できるには、何年もかかります。ですから、『できない!』とあきらめないで下さい。
美しい先生の真似をしましょう。
バレエの動きと形の用語
ここからは、舞台で見られる動きが沢山出てきます。
舞台と違うのは、センターレッスンは練習なので様々なテンポの音楽に合わせて右側と左側を両方行うということ。
良く使われる動きと形の用語です。(用語は流派、国等によって多少異なります)
アッサンブレ ジャンプして空中で脚を揃える動き。
エシャッペ 5番から、2番ルルヴェに立ち、右足と左足を交互に入れ替える動き。
シェネ 1番ポジションのルルヴェの状態で、コマのように回転していく動き
シャンジュマン 5番ポジションで、右脚と左脚をジャンプしながら前後に取り替える動き。
ジュテ 1.片脚を斜め25度くらいの高さに出す動き。2.片足を大きく前に振り出しながらジャンプし、空中で開脚した形をとるジャンプ。
ドゥミプリエ 膝を外側に向け軽く膝を曲げる動作。
パ ステップ・動きの事
パッセ 片足を軸に、反対側の脚は横に開いた状態で膝を曲げ、つま先を軸脚の膝につける形。
パ・ドゥ・ブレ つま先で立った状態で、脚を交互に細かく踏みながら移動する動き。
パンシェ アラベスクの状態で、上体を前に倒しながら脚を高く上げて行く動き。
ピルエット 4番あるいは5番のポジションから、片脚を軸に反対側の脚はパッセの形で回転する動き。
フェッテ 片軸プリエからルルヴェあるいは、ポアントと同時に、反対の脚をクぺから大きく横に脚を振り上げ、半回転しながら軸足がプリエ。さらに半回転してアティチュウードの形で止まる動作。
フェッテ・アントールナン 片方を軸に反対の脚を前から横に開きながらパッセ。その勢いで回転する。
ポアント トウシューズのつま先で立った状態を指し、トウシューズ自体をポアントと呼ぶ。
ルルヴェ つま先立ちになった状態。
レヴェランス レッスンの最初と最後に行うバレエのお辞儀
バレエのデモンストレーションと動きの説明
先生が実際に動いて、デモンストレーションを行い、首・体の動き、脚の動き、進む方向 (上半身の移動や回転)、腕の動きを細かく説明してくれます。
こうして説明を聞き、先生のデモンストレーションを見て、直して頂きながら何度も練習して行くうちに、手、脚、首、体の位置の関係が理解できるようになり、ちゃんと自然に動くようになって来るのです。
形や、動きの他にも速いテンポやゆっくりした流れの曲に合わせた踊り方の呼び名もあります。
アレグロ 音楽用語の一つで『速いテンポ』という意味。バレエでは、速い音楽に合わせた快活な踊りの事。
アダージョ 音楽用語の一つで『ゆるやかな速度で』という意味。バレエでは、ゆっくりとした音楽に合わせた振り・踊りの事。
この他、ワルツ(4分の3拍子の舞曲)等もあり、曲に合わせて動き、ポーズをとり、回転やジャンプで趣向を凝らしながらレッスンは進んで行きます。
レッスンの終わりには フェッテ・アントールナン(32回転)の練習を行う教室もあります。
バレエ豆知識
白鳥湖の第3幕 黒鳥オディールが行う32回転フェッテ・アントールナンはとても有名です。(グラン・フェッテ・アントールナンとも言う)
その他にも、『くるみ割り人形』や『眠れる森の美女』でも行われる事が有ります。
この後、レヴェランス と呼ばれるレッスンの最初と最後に行うバレエのお辞儀をしてレッスンは終了です。
さあ、お子さんが帰って来ますよ!今日はどんな事を話してくれるのかしら?